不思議なもので、釣りに行けていない時ほど、なぜか道具を買ってしまう。
決して新しいもの好きというわけではない。
けれど、新しい道具はやはりそれなりに使いやすく改良されていて、手にした瞬間の幸福感は確実にある。
その一方で、「古いけど、ここがいいんだよな」と思わせてくれる道具に出会うことも多い。

その代表例が、ダイワの TD-Z というリール。
写真の右端、一番手前に写っているシルバーのモデルだ。
TD-Zの特徴は、クラッチ(スプールをフリーにするレバー)がリール上部に配置されている点。
最近のリールとは明らかに違う。
これはバス釣りのフリッピングというテクニックで、より手返し良く操作できるように、あえて上部に配置されたものらしい。
ただ、最新のリールではこの配置を見かけることはほとんどない。
私はバス釣りではなく今回はタイラバで使うつもりなのだが、
クラッチ操作のたびに親指を後ろへ、パーミングで前へ…という最近のリールの動作が少し煩わしく感じてしまう。
その点、このTD-Zは実に素直だ。
本来は淡水専用だと思うが、次回の釣行で試してみようとPE1.0号を巻いた。
ただし、ギア比が低いので、深場を探るとなるとハンドルを回すのが少し辛くなるかもしれないのでハンドルを95mmのものへ交換した。
他のリールは比較的新しいものが多いが、
それでも開封後に分解してベアリングを交換したり、不要なオイルやグリスを取り除いて注油し直したりと、
自分なりに手を加えている。
分解することも、新しいものを買うことも、どれも釣りへのモチベーションを保つためには欠かせない作業だ。
スコアに執着して釣果を追い求めるのも楽しい。
けれど、結果だけでなく
「ここで釣りたい」
「これで釣りたい」
そんな風に、ターゲット以外の部分にも執着できるところが、釣りの面白さだと思う。
季節は足早に進み、
まるで秋が無かったかのように感じていたけれど、
日々のルーティンの中で、確かに季節は感じ取れる。
私にとって「冬が始まったな」と思わせてくれるものが、身の回りに少しずつ増えてきた。




今週は、11月21日以来となる海へ出る予定だ。
久しぶりの海、そして久しぶりの釣り。
準備をしながら、その時間を静かに楽しみにしている。