10/24/2026 KatsuSera

夜明け前の散歩と、気の利かない世界の話

Walking through darkness, quietly intact.

午前4時半、まだ空は墨を流したように黒い。レスターを連れて外に出る。静寂の中に虫の声と遠くの車の音だけが混じり合っている。

公園には先客がいた。82歳のタイル屋のおじちゃんだ。ゴミ拾いをしながら歩いている。「暗くてもゴミが見える」と自慢げに笑う。その言葉がなぜか頭に残った。年をとっても、こうして暗闇に分け入り、誰も気づかないものを拾い上げる。それを誇りに思える人間がいる。朝の公園には、そういう元気な年寄りが案外多い。歩けていることが、すでに何かの証明なのかもしれない。

もっとも、来られない人には来られない事情がある。フィジカルかメンタルか、あるいはその両方か。私はそれを問い詰めるつもりはない。ただ、来られる日の朝を、粗末にしたくないとは思う。

この数日、暮らしの整理を進めている。12年乗った軽バンがそろそろ限界で、生命保険をひとつ解約して買い替えの資金に充てることにした。プリンター3台とスキャナーも処分し、カラー複合機ひとつに集約した。機器が減るだけで、机の上に静けさが戻ってくる。

不思議なもので、ものを手放すとき、人間関係の整理とよく似た感覚が伴う。

金融機関の担当者にメールを送っても返信がない。当日に必要書類が足りないことが発覚する。OFの件でも、また期限が守られなかった。Asanaに記録した。都合の良い嘘は嫌いだ。それだけははっきりと言える。

気が利かない人は、どこまでいっても気が利かない。それはその人の天性に近いもので、言葉で変えることはほぼできない。諦める、というより、期待値の調整だと思うようにしている。苛立つエネルギーをそこに注いでも、消耗するのはこちら側だけだ。

少し前の夜、鶏ミンチとレンコンのハンバーグを作った。レンコンがたっぷり入って、歯応えのある、満足感のある一皿になった。用意していたさつまいものポタージュとキノコの炒め物は翌日に回した。料理をすると、考えすぎた頭が黙ってくれる。香りや火加減に集中するだけでいい時間が、今のところ好きだ。

サイバー攻撃のニュースが続いている。個人情報の流出が日常語になりつつある。使いもしないアカウントはすべて退会した。便利さと安全は必ずしも一致しない。ミニマムにして、万が一に備える。大きな金融事件が起きたとき、誰も保証などしてくれないと、私は前提として考えている。備えは不安ではなく、静かな自衛だ。

レスターがまた少し体調を崩した。10月になっても蒸し暑く、台風が30号まで来ている。気候は確実に変わっている。それでも朝は来るし、犬は歩きたがる。暗い道を、懐中電灯なしで歩き続ける82歳がいる。

世界が多少おかしくても、歩き続けることはできる。気づかない人に気づかせようと力まなくても、自分が気づいていれば、それでいい。そう思いながら、また明日の4時半を待っている。

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``Nature does not hurry,
yet everything is accomplished``

Catch the Moment, Chase the Tide