06/23/2026 KatsuSera

眠る犬と、自分のための仕事

A dog's breath, a life rebuilt quietly

レスターが、また体調を崩した。

去年の六月も同じだった。下痢と嘔吐が続き、ぐったりと横たわるあの子を病院に連れて行ったのも、ちょうど同じ季節のことだ。今年もまた、同じ時期に同じように病院の点滴室で待ち、同じように祈った。

翌朝、下痢が止まっていた。それだけで、世界が少し明るくなった。

今、レスターは隣でぐっすり眠っている。その寝顔を横目に、私はパソコンの画面に向かっている。規則正しい寝息の音が、静かな部屋に満ちている。この子をひとりぼっちにさせたくない、とただそれだけを思う。難しい理屈でもなく、崇高な使命でもなく、ただそれだけだ。

どれだけ気持ちが沈んでも、レスターの顔を見ていると不思議と体が動く。この子は何も言わない。何も要求しない。ただそこにいて、温かくて、柔らかくて、私のそばで眠っている。それだけで十分だと思わせてくれる。最高に優しい生き物だと、改めて思う。

同じ六月、こんなことも考えていた。

仕事のことだ。ずっと、誰かのために、将来の大きな目標のために働いてきた。それは間違いではなかったと今でも思う。しかし、ある不平等さの中で、ふと気がついた。眠れる者が眠れない者に嘆く。そんな構図の中で、自分だけが静かに削られていく感覚があった。

不満をぶつけることもできた。声を上げることもできた。でも、私が辿り着いたのは別の場所だった。

結局、自分のために働くしかない。自分の幸せを、自分の価値観を、軸に据えて動くしかない。それは利己的な結論ではなく、むしろ誠実な結論だと思っている。誰かのためという美しい言葉の陰に、自分を見失ったまま進んでも、最後に誰かを幸せにできるはずがない。

最後に笑えれば、それでいい。

六月の初め、まだ夜明け前の四時に起き、レスターと朝の散歩に出た。空気は涼しく、街はまだ眠っていた。家に戻り、テレビをつける。日本対オランダ、ワールドカップのキックオフが五時に迫っていた。がんばれ、と声に出した。誰に聞かせるわけでもなく、ただそう言いたかった。

静かに、しかし確かに、今日も動いている。

レスターの寝息はまだ続いている。

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``Nature does not hurry,
yet everything is accomplished``

Catch the Moment, Chase the Tide